モノクロ・フォトエッセイ:高見 剛


「モノクロ写真」

私の撮影テーマを大きく分類すると、『自然と風土』『宗教と祭り』『米軍と自衛隊』の3つになります。なかでも、宗教と祭り、米軍と自衛隊の撮影ではモノクロを多用します。
自然と風土の撮影では、自然界の荘厳な一瞬を切り取るとき、季節の色や人工物の色は時として大変目障りなことがあります。
宗教と祭りの中でも、特に関心があるのが、山岳宗教です。古来より、山中に行場を定め、疑死再生の過酷な峰入り修行を繰り返し、悟りを求めた人々。物質 文明に浴した現代人が、食や水を断ち、難行苦行を続ける姿を記録しようと思った時、迷うことなくモノクロを選択しました。色を消す事で、行者の精神性と荒 行の実態が表現できると思ったからです。
今回の写真は、大分県由布市湯布院町、玖珠郡九重町、玖珠郡玖珠町にまたがる陸上自衛隊日出生台(ひじうだい)演習場にて行われた、沖縄駐留米海兵隊移転砲撃訓練を撮影したものです。
2006年2月2日。米海兵隊砲撃訓練特別公開に同行した私は、我が耳を 疑いました。米海兵隊現地指揮官は「住民や地方自治体が反対しても、日本政府が了承すれば、いつでも小銃や機関銃の射撃訓練ができる態勢にある」と言った のです。前日、米軍と防衛庁が、大分県と地元自治体に、小銃、機関銃の射撃訓練を求めていたが拒否をしたとの事でした。日本政府と防衛庁が、大分県と地元 自治体との間に結んだ日出生台演習場使用協定では155ミリりゅう弾砲砲撃訓練のみとなっているのです。
この日、メインカメラにモノクロフイルムを、サブカメラにカラーフイルムをセットし訓練の現場を撮影しようと挑みました。米軍の訓練に反する地元住民 の代表6人と私は、海兵隊員の運転する車で砲撃陣地に到着。砲撃音の響く中で指揮官に機関銃のように質問を浴びせたのです。
月日は過ぎて、2006年10月22日。大分県と地元自治体は、2007年2月に行われる予定の、米海兵隊実弾砲撃訓練に機関銃や小銃などの小火器射撃訓練の受け入れを決定しました。

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高見 剛/銀・ギラ・Ag 2006写真展出品「日出生台ドキュメント 2006年2月米海兵隊砲撃訓練特別公開」より


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